特売で買った旬の魚や、たくさん頂いた鮮魚。一度に使い切れずに冷凍保存すること、よくありますよね。でも、「冷凍すると味が落ちるのでは…」と心配になる方も多いのではないでしょうか。実は、解凍方法を工夫するだけで、風味を損なわずに美味しくいただくことができるのです。
この記事では、冷凍した魚を美味しく食べるための、おすすめの解凍方法を5つご紹介します。
魚の解凍で最も大切なこと
まず覚えておきたいのは、解凍時に「ドリップをできるだけ出さないこと」です。ドリップとは、魚を解凍する際に出てくる液体のことで、これには魚のうま味や栄養成分が含まれています。ドリップを最小限に抑えることが、美味しさを保つ最大のコツなのです。
おすすめの解凍方法5選
それでは、具体的な解凍方法を見ていきましょう。ご自身の生活スタイルや調理時間に合わせて使い分けてみてください。
【1】ポピュラーな自然解凍(常温解凍)
凍った魚を冷凍庫から取り出し、室内に置いて解凍する方法です。包装されたまま、直射日光の当たらない冷暗所に置くのがポイント。ただし、夏場や室温が高い場合は解凍が早く進みすぎたり、逆に冬場は時間がかかったりします。また、長時間放置すると雑菌が繁殖する恐れもあるため、様子を見ながら行う必要があります。ドリップが出やすい方法でもあるため、特に大きな魚や刺身用の場合は注意が必要です。
【2】ゆっくりラクチン冷蔵庫解凍

お刺身など生で食べたい場合も含め、品質を保ちやすいのが冷蔵庫での解凍です。低温でゆっくり解凍するため、ドリップが出にくく、細菌の繁殖も抑えられます。時間はかかりますが(小さな魚で数時間、大きな魚では半日以上)、最も失敗の少ない方法の一つです。アルミ製のバットなどに乗せて解凍すると、熱伝導により解凍時間を多少短縮できます。
【3】料理屋の厨房では一般的な流水解凍

冷蔵庫解凍では時間がかかりすぎるけれど、美味しく急いで解凍したい、という時におすすめなのが流水解凍です。ビニール袋やジップロックなど防水の袋に魚を入れ、水を張ったボウルなどに入れて蛇口から少しずつ水を流しながら解凍します。魚を直接水に浸すと、水っぽくなったり栄養分が流れ出たりするので注意しましょう。比較的短時間で、品質良く解凍できる方法です。
【4】スピード重視の電子レンジ解凍

とにかく急いでいる場合は、電子レンジの解凍機能が便利です。ただし、加熱ムラが起きやすく、部分的に火が通ってしまうこともあるため注意が必要です。必ず「解凍」モードを使用し、最初は短めに設定して様子を見ながら、途中で魚の向きを変えるなど工夫すると上手に解凍できます。
【5】解凍と調理は一緒に、調理中に解凍する

薄切りやすでに下処理された冷凍魚であれば、凍ったまま調理する方法もあります。例えば、薄切りならそのままフライパンで焼いたり、煮物や汁物に入れたりできます。ただし、厚みのある魚の場合は中まで火が通らないことがあるので、注意が必要です。
魚の解凍は“半解凍”がいちおし!
どの解凍方法を選ぶにしても、実は魚の場合は完全に解凍する手前の「半解凍」の状態が最も扱いやすいと言われています。中心部分がまだ少し凍っている、50%~80%程度の解凍状態が目安です。
完全に解凍してしまうと身が柔らかくなり崩れやすくなりますが、半解凍なら身がしっかりしていて形が崩れにくく、調理がしやすくなります。特に刺身にする場合は、半解凍の方が薄くきれいに切ることができます。
まとめ
冷凍魚を美味しくいただくためには、ドリップを抑える解凍方法を選ぶことが大切です。今回ご紹介した5つの方法と、「半解凍」のテクニックを参考に、ご自身の状況に合わせて最適な解凍方法を見つけて、冷凍魚をもっと手軽に、そして美味しく楽しんでくださいね。