総務省「家計調査」や文化資料をひもときつつ、“魚をよく食べる県”をデータからランキング化してみました。専門家ではなく一般の魚好き目線ゆえ、推測箇所には※印を付けています。
家計調査から読み解く県別ランキング
順位 | 県名(庁所在地ベース) | 年間購入量〈kg/1世帯〉 | メモ |
---|---|---|---|
1 | 青森県(青森市) | 60.4 | 全国平均の約1.6倍 |
2 | 秋田県(秋田市) | 約56 | 干物・ハタハタ文化 |
3 | 鳥取県(鳥取市) | 約54 | 松葉ガニ・赤カレイ豊富 |
4 | 新潟県(新潟市) | 約52 | 佐渡ブリ・ノドグロ |
5 | 富山県(富山市) | 約50 | 寒ブリ&ホタルイカ |
6 | 石川県(金沢市) | 約48 | 近江町市場と能登干物 ※ |
7 | 山形県(山形市) | 約46 | サクラマス・塩干物 ※ |
8 | 宮城県(仙台市) | 約45 | サンマ・カツオ水揚げ ※ |
9 | 岩手県(盛岡市) | 約44 | 三陸サケ・ホヤ文化 ※ |
10 | 福井県(福井市) | 約43 | 若狭グジ・へしこ ※ |
※6位以下の数値は筆者が総務省「家計調査」(2022年)元表を再計算したもので、近年は年度で多少上下するため「約○kg」という表記にしました。
上位県の共通点:寒冷地 × 日本海側
- “寒い+日本海”のセット
青森~富山の上位組は日本海沿岸または奥羽山脈周辺。冬季に脂が乗る寒ブリ・サバ・ハタハタなどが豊富で、保存のための塩干技術が発達しました。 - 北前船がもたらした塩干ネットワーク
江戸期に北前船が回遊したことで、塩サバや棒鱈が京阪や信越にも流通し、干物文化が根付いたといわれています。※筆者推測 - 台所の気温が“天然冷蔵庫”
豪雪地帯では冬季の屋外が冷凍庫代わり。大きなブリでも丸ごと凍結保存→春先まで食べ切る習慣が残る地域も。
ご当地簡単レシピ3選
- 青森「塩サバの味噌煮」
- 骨取り塩サバ2切れを湯通し→水200 ml+味噌大さじ2+砂糖大さじ1+生姜で5分煮。
- 仕上げに林檎すりおろし小さじ1を溶かすと甘みとテリがアップ(青森らしさ演出)。
- 富山「ブリ大根・時短版」
- ブリ切り身2切れは熱湯をかけ臭み抜き。
- 大根150 gを電子レンジ600 Wで3分加熱→鍋にブリ・大根・出汁200 ml・醤油大さじ2・酒大さじ1・みりん大さじ1。
- フタをして弱火15分。味が足りなければ追い醤油。
- 秋田「ハタハタ寿司風 甘酢漬け」(本来は発酵食だが超簡略)
- 小型ハタハタ10尾を素焼き→甘酢(酢100 ml・砂糖大さじ2・塩小さじ1)に一晩漬ける。
- 千切り人参と生姜を混ぜ、寿司飯にのせて“なんちゃって生なれ寿司”。
- 本来の乳酸発酵する深い旨みと酸味は再現しきれませんが、雰囲気は味わえます。
まとめ
日本海側の寒冷県が魚購入量で上位を独占する背景には、
- 豊かな漁場と冬の脂乗り、
- 塩干・発酵など保存の知恵、
- 北前船の歴史的物流――がありました。
「魚離れ」が叫ばれる今こそ、こうした地域の食文化をお取り寄せや簡単レシピで体験してみませんか?数字と味わいの両面から、魚の魅力を再発見できるはずです。