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渓流の王者イワナ:その魅力と不思議な生態に迫る

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イワナ
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渓流釣りの代表格であり、食用としても人気の高いイワナ。その魅力は、淡白で上品な味わいだけでなく、知られざる不思議な生態にもあります。日本全国各地、そして世界にも生息するイワナは、古くから地元の人々に愛され、親しまれてきました。今回は、そんなイワナの少し不思議で魅力的な生態についてご紹介します。

イワナの基本情報と不思議な生態

イワナはサケ目サケ科イワナ属の魚で、主に川の上流域に生息し、「渓流の王者」とも称されます。体に白い斑点があり、背中は褐色、腹部はやや黄色みを帯びているのが特徴です。身はクセがなく、凝縮された旨味があり、食通にも好まれる川魚です。そんなイワナの興味深い生態を見ていきましょう。

不思議<1> なんでも食べる?驚きの食性

水中のイワナ

イワナが「渓流の王者」と呼ばれる理由の一つに、その獰猛な性格と旺盛な食欲があります。「渓流を流れるものなら何でも食べる」と言われるほどで、昆虫や小魚はもちろん、時にはネズミやサンショウウオまで捕食した例も報告されています。また、嵐が近づくと川底の砂を食べて体を重くし、激流に耐えるという興味深い話もあります(※1)。この貪欲さは、厳しい自然環境で生き抜くための生命力の強さの表れと言えるでしょう。

※1 参考: 「イワナと人の自然誌」あきた森づくり活動サポートセンター (ウェブサイト)

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不思議<2> イワナは歩く?驚異の移動能力

川辺のイワナ

「イワナが歩く」という話を聞いたことがあるでしょうか。もちろん、陸上を闊歩するわけではありません。しかし、イワナは元々水の少ない上流域にも生息するため、水が途切れた場所でも体をくねらせ、胸ビレを巧みに使って水のある場所まで移動することができると言われています。その姿がまるで歩いているように見えることから、このように表現されるのです(※2)。大きな胸ビレは、陸上での移動にも役立っていると考えられています。

※2 参考: 「仰天映像!歩くイワナ」知識の宝庫!目がテン!ライブラリー (ウェブサイト)

不思議<3> イワナは臆病?警戒心の強さ

獰猛な一面を持つイワナですが、実は非常に臆病な性格でもあります。一度人の気配を感じると、岩陰に隠れてなかなか出てこないと言われています。イワナの目は、水面に落ちてくる昆虫を捕食したり、上空の鳥などの天敵を警戒したりするために、やや上向きについているとされます。この広い視野が、危険を素早く察知するのに役立っているのかもしれません(※2)。

不思議<4> イワナのイクラは赤くない?黄金色の輝き

黄金色のイワナのイクラ

一般的にイクラと言えば鮮やかな赤い色を想像しますが、イワナのイクラは実は赤くありません。サケのイクラが赤いのは、海でオキアミやカニなどの甲殻類を食べることで、その赤い色素(アスタキサンチンなど)を取り込むためです。一方、日本のイワナの多くは一生を淡水で過ごし、赤い色素を含む餌を摂取する機会が少ないため、イクラは卵本来の美しい黄金色をしています(※3)。

黄金色のイワナのイクラは、見た目の美しさだけでなく、味わいも絶品。クセがなく、プチプチとした食感とともに濃厚な旨味が口の中に広がります。ご飯のお供にも、お酒の肴にも最適な珍味と言えるでしょう。

※3 参考: 「近畿大学が開発中の「黄色いイクラ」…なぜ黄色くなる?味は?」FNN PRIME (ウェブサイト)

まとめ

今回は、渓流の王者イワナの魅力と、その少し不思議で興味深い生態についてご紹介しました。獰猛な食性、陸上を移動する能力、臆病な一面、そして美しい黄金色のイクラ。知れば知るほど奥深いイワナの世界。これらの知識は、イワナを味わう際の楽しみを一層深めてくれることでしょう。

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