さかな専科

長寿の秘訣?日本の伝統食文化と健康的な食生活を探る

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日本の伝統食のイメージ
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日本は世界でも有数の長寿国として知られています。2018年の厚生労働省のデータによると、日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳と、男女ともに過去最高を記録し、世界的にもトップクラスです(※1)。この長寿の背景には、充実した医療制度や恵まれた環境など複数の要因がありますが、特に注目されるのが日本の伝統的な食生活です。

日本の伝統的な食事、いわゆる「和食」は、低脂質・低カロリーで健康的であるとされ、2013年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。今回は、この和食を中心とした伝統食文化が、どのように私たちの健康や長寿に貢献してきたのかを探ります。

※1 参考: 「主な年齢の平均余命」『平成30年簡易生命表の概況』厚生労働省 (PDF)

伝統食とはどんなもの?

伝統食とは、一般的に「主にその地域で生産される農林水産物を用いて加工・調理された食物で、その地域の風土や習慣に合わせて長い年月をかけて形作られたもの」とされています(※2)。これには、現代風に多少アレンジされたものも含まれます。

岩魚の炊き込みご飯

つまり、その土地で古くから親しまれ、生活の中に溶け込んできた料理や食習慣のことです。特別な行事食だけでなく、日常的に食べられ、自然な形で次の世代へと受け継がれてきた郷土料理も伝統食と言えるでしょう。

※2 参考: 「伝統食を含む食文化の継承及び地域産物の活用への取組状況の概要」農林水産省 (ウェブサイト)

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伝統食はその土地の歴史と共に

日本の伝統食は、昔から日本人の体を作り、健康長寿を支える上で大きな役割を果たしてきました。例えば、山形県の「いも煮」、山梨県の「ほうとう」、宮崎県の「冷や汁」などは広く知られています。これらは、その土地の産物や気候風土、人々の生活様式の中で自然発生的に生まれ、歴史とともに親しまれてきた料理です(※3)。

※3 参考: 「見てみよう!日本各地の郷土料理」農林水産省 (ウェブサイト)

渓流魚(川魚)も伝統食に登場

海沿いの地域では海の魚を使った伝統料理が多い一方、山間部などでは川魚が古くから伝統食の重要な食材として用いられてきました。アユ、フナ、ドジョウ、ワカサギ、コイなど、種類も調理法も様々です。川魚特有の風味を活かすため、あるいは保存性を高めるために、煮込み、焼き物、発酵食品など、多様な調理法が見られるのも特徴です。

中でもアユは「香魚」とも呼ばれ、姿寿司やアユ飯といった料理で親しまれています(※4)。

※4 参考: 「特集2 新・日本の郷土食(2)」『aff』12年6月号、農林水産省 (ウェブサイト)

各地の渓流魚(川魚)を使った伝統食の例

日本各地には、アユ以外にも様々な川魚を使った伝統食が存在します。

  • 鮒(フナ)ずし:滋賀県などで食べられる発酵食品。フナを塩と米で乳酸発酵させ、独特の風味と保存性を持ちます。
  • 鯉(コイ)こく:ぶつ切りにしたコイを味噌仕立ての汁で長時間煮込んだ料理。長野県の一部地域では年越しに食べる習慣もあります。
  • 鰍(カジカ)のから揚げ・カジカ汁:北海道南部以南に生息するカジカは、小さいものは丸ごとから揚げに、大きいものはぶつ切りにして味噌風味の鍋物「カジカ汁」として食されます。
  • 鮒(フナ)のすずめ焼き:小さなフナを開いて焼き、一度揚げてからタレで煮揚げたもの。頭から骨まで柔らかく食べられます。
  • アジメドジョウの旨煮:希少なアジメドジョウが獲れる岐阜県では、夏に旨煮やから揚げとして食されます。
  • 鯰(ナマズ)のかば焼き:さっぱりとした味わいのナマズは、鍋物や唐揚げのほか、特にかば焼きが人気で、岐阜県から愛知県にかけての地域でよく食べられています。

まとめ

日本の長寿を支える伝統食文化には、地域ごとの気候風土や歴史の中で育まれてきた知恵と工夫が詰まっています。川魚もまた、そうした伝統食の中で重要な役割を担ってきました。保存性を高める工夫や、風味を活かす調理法など、昔ながらの食文化に触れることは、現代の私たちの食生活を見つめ直す良い機会となるでしょう。ぜひ、各地の伝統食や川魚料理に目を向け、その奥深さを味わってみてはいかがでしょうか。

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